今日一日、ステージがハードだったといえばハードだった。
 が、それ以上に感情の起伏に疲れた感が否めない。
 翠のことは唯さんが迎えに来る。
 唯さんたちが側にいてくれれば何を危惧することもなくなるし、迎えが来るまでは警備員が目を光らせているだろう。
 奈落の一画に佇む警備員を確認し、作業に加わろうとしたそのとき、肩に重力が加わった。
 それは優太の腕。
 絡みつく腕を払いたいと思うのに、そんな動作にすら身体が鉛のように重く感じる。