まだ翠葉が自分で選択することができなかった部分を決めてきたのは俺たち親だ。
 そのことから目を逸らすつもりはない。が、過ぎた過去は何を変えることもできない。
 ならば、これからの翠葉の人生にいくつもの選択肢があらんことを――。
 俺は翠葉が進みたいと思うこれからを支えていきたいと思う。
 本人にしかできない努力はある。
 でも、父親という立場でできること、親という立場でできることもあると思う。
 その、「できる部分」での努力を怠ることなく惜しむことなくしていきたいと思う。
 それはきっと、隣を歩く碧も同じ気持ちだろう――。