光のもとでⅠ

「なんていうか、観客を飽きさせないよねー?」
「それに、プロのヴァイオリニストを呼んじゃってるところがアレよね……」
 ふたりとも会話をすれば「アレ」だらけだ。
 そのどれもが「藤宮」を指すのだからなんとも言えない。
 携帯の電波妨害もあり、翠葉のバイタルを知ることができない状況だからこそ、俺たちはほかのものに意識を逸らされることなく、緊張しながら歌う娘を、心をこめて一フレーズ一フレーズを歌う娘の姿を一心に見ることができた。
 一番印象的だったのは第二部のオープニング曲。