「あら、東條くんたら言葉の使いどころ間違えちゃったのね? 急遽押さえようとしたのは私たちの予定というところかしら?」
「そのようだな」
「残念だけど、私、明日は娘を迎えに行く予定以外に予定を入れるつもりはないの」
「それは残念だな。碧が行かないのならば私も行く意味がない」
 ふたりは「残念」の「ざ」の字も見えない笑顔で言葉を交わしていた。
 そんなふたりを見ていれば、学生時代の記憶がよみがえる。
 そうそう、このふたりって学生のときからこんな感じだったよねぇ……。
 好戦的というかなんというか……。
 碧さん、アレですよ。
 あのトウジョウって男も変わっていないのかもしれないけれど、我々も変わってないのでは……。