「もうすぐ三十分になるわね」
 母さんがそう口にしたとき、「ただいまー!」と父さんと翠葉が戻ってきた。
 翠葉の手にはマグカップがふたつ、父さんの手には毛布とホットマット。
 部屋に入ってきた翠葉は真っ直ぐ俺と唯のもとへ来た。
「蒼兄、唯兄……」
 翠葉が口を開けた途端、唯が「待ってました」と言わんばかりに立ち上がる。
「ハーブティー淹れたら行くから、あんちゃんと先に部屋に行ってな」
 唯は「ほらね?」って顔で俺を見て、翠葉の持っていたカップを引き受けキッチンへと歩きだした。