「で? 桃華ちゃんとはうまくいってるの?」
 母さんは嬉しそうに訊いてくる。
「……取り立てて何か問題があるわけじゃないかな?」
 俺は未だに桃華とケンカというものをしたことがない。
 それもそのはず――「翠葉」というキーワードで話が弾みこそすれ、ケンカになることがない。
 むしろ問題があるとするなら――。
「母さん、桃華から届くメールって必ず翠葉のことが書いてあって、俺、それに嫉妬しそうなんだけど……」
 結構真面目に話したつもりだった。
 でも、この場では唯と母さんの笑いしか得ることができなかった。