夕飯の準備がおおむね整うと、唯が菜箸をよこす。
「ふっふっふ……俺はリィの髪の毛を乾かすんで、あとは碧さんとあんちゃんよろしくっ!」
 それに対抗しようとは思わない。
 菜箸を唯から譲り受けると、意外なところから声があがった。
 ……いや、別段意外でもないかも。
「唯、ずるいぞー! そろそろ俺に翠葉をよこさんかいっ!」
 父さん、唯と張り合うなよ……。
「でも、ドライヤーはひとつしかないし~」
 急にかわい子ぶるこいつは誰だ……。