「唯くんにキッチン手伝ってもらいたいんだけど、呼んできてもらえる?」
 母さんに言われて廊下に通じるドアを開けた。
 バスルームに明かりはついているものの、湯を溜める音はしておらず、そこに唯もいない。
 その少し先の翠葉の部屋から光が漏れているあたり、ふたりはそこにいるのだろう。
「唯、何ミイラになってるんだよ」
 ドアを開けてそう言うと、「あはは」と笑う唯がいた。
 翠葉は慌てて先輩のジャケットをハンガーへかける。
 もしかしたら何か話していたのかもしれない。