部屋に入り、リィのベッドに腰掛ける。
「嘘だよ、嘘うそ。その香り、すごい拘ってたもんね?」
「うん……」
「きっとそうそういないよ? 香りが気になって人につけさせてまでラストノートを確認する子」
「……そう、かな?」
「俺はいまだかつてリィしか見たことないね」
 俺やあんちゃんに香水をつけさせ、ラストノートまで確認するリィには恐れ入った。
 でも、そのくらい記憶に残る香りだったことは確かで……。
 今、それを再確認するような行動を取っていたのは何か思い出しつつあるってこと?
 正確には、ジャケットを抱えているわけだけど、俺にはリィが頭を抱えているように見えてきた。