もともと、賭けがどうこう以前にうまくいってほしいと思っていたわけで、今この子を焦らせるのは何か違う気がする。
 司はそういうのもひっくるめて見守りたいってことだったのかな。
 秋斗先生はどうなんだろう……。
 二学期に入ってから、司と秋斗先生の関係に釈然としないものを感じていた。
 きっと翠葉ちゃん絡みなんだろうけれど……。
 そんなことを考える傍ら、俺は心の中で優太にごめんと手を合わせる。
 俺、この賭けここで手を引く。
 介入するよりも見守りたい。
 あの子が泣いていたら手を差し伸べられる人間になりたいかも……。
 それは男として、ではなく、一先輩として――。