光のもとでⅠ

 しかし、彼女はステージを重ねるごとに疲労の色が濃くなっていく。
 そして、時間が経つにつれて表情も曇っていく。
 今度こそ体調的なものじゃないのか、と不安に思うくらいには。
 いつも以上に翠葉ちゃんが気になる俺は、定期的に声をかけに行っていた。
 その間に交わした言葉の数々を思い出すも、なんとも不思議なものばかり。
 たいていの女の子なら司が歌っているのを見て赤面したら、「かっこいい」の一言でも聞けそうなものを、翠葉ちゃんの口からは「反則」だの「こんな歌カメラ目線で歌わないで」だの、そんな言葉しか聞けない。