光のもとでⅠ

 普段、数を口にして気持ちをコントロールすることはない。
 頭の中で数えるだけで十分だったからだ。
 最近は翠に乞われて口にすることも多かったが、口にして思う。
 頭の中で唱えるよりも効果があるな、と。
 俺は翠に気持ちを切り替えろ、と言いつつ、自分の気持ちを切り替えるためにも数を数えていた。
 今の俺では翠に恐怖感を与えるだけだ。
 少しは自分を落ち着け自制しろ……。
 十回目を数え終わる頃、指先から伝う震えがふ、と消えた。
「……落ち着いたか?」
 翠が頷いたのを確認してから手を放しベストを取る。