光のもとでⅠ

 このくらいは許せよ……。
 思いながら、恐る恐る翠の頭に手を乗せた。
 海斗の体温が残るベストの下に、手の平におさまる頭を掴む。
 乗せるというよりは、逃げられないように掴んでいた。
「十数える。それで切り替えろ」
 何を切り替えるかは翠しだいだ。
「最終演目でステージに上がるのは二、三分後。それまでに態勢を立て直せ」
 それ以上は待てない。
 体調が悪いというのならともかく、今の翠は精神不安定というほうがしっくりくる。
 こんな状態でイベントに最後まで参加できなかった事実なんか残してみろ。
 それこそ、あとで深い傷となるに違いない。
 そうはさせない――だから、切り替えろ。