いつも、求められこそすれ、重ねてもらえなかったことは一度もない。
 心から何かが零れ落ちる瞬間。 
 それは容赦ない痛みを伴うものだった。
「何……俺もだめなわけ?」
 声が震えないように話すのがやっとだ。
 自然とトーンも低くなる。
 翠は何も答えず、震えながらボロボロと泣いていた。 
 そして、少しずつ息が上がり始めていた。
 このままだと過呼吸になる。
 ――こんな感情、自分の感情くらい自分の力でどうにかしろっ。
 今は……今は翠の身体が優先だ。