タルトを持って戻ったとき、泣いていたことには正直焦ったけど、良く考えてみれば当たり前のことだったし、そういうことも想定して作った装置だった。
「……そりゃ恥ずかしいか」
 今となっては海斗と司もモニタリングしているのだから。
「俺もまだまだだな」
 パソコンに向かうとメールが何通か届いていた。
 数日間は緊急以外の用件はメールで連絡するように、と通達してある。
 メールは蔵元からだった。
 仕事の進捗状況を連絡するようにって……。
「俺は夏休みの宿題をさぼってるガキか……?」
 きっと、彼女にかまけて俺が仕事を放り投げてるとでも思っているのだろう。
 本当はそうしたいところだけど、そうしたら彼女のほうがまいってしまいそうだ。
 キスや軽い愛撫であの状態――。
 彼女は"愛撫"なんて言葉は知らないかもしれない。
 不思議そうな顔をしてくすぐったそうにしていた。
 初めての女の子はそういうものなのか……。
 正直、"初めて"の女の子を相手にするのは俺が初めてだ。
 でも、男って生き物は本当にどうしようもない生き物で、好きな子の性感帯を探すのは宝探しのようなもの……。
「……俺、本当にどうしようもないやつになりそう」