「っ……翠、何泣いて――」
「なんでもないっ」
「なんでもなくないだろっ!?」
 泣いているくせにどれだけ強情なんだか。
「なんでもないってばっ。携帯持ってるんだから見ればいいでしょっ!? 数値に何か異常でも出てるっ!?」
 咄嗟に携帯を見るが、そこに異常を知らせる数値は並ばない。
「っ……出てない、出てないけどっ。何かあるのは間違いないだろっ!?」
「だから、ないってばっ」
「……下手な嘘はつくなってさっき言ったはずだけど?」
「そのときにも言ったっ。言葉にできないこともあるって言ったっ」
 頭が痛くなる。