もう、なんの反応もしようがなかった。
 流れている映像を今さら止められるわけもなく、ただ見ているだけ。
 あの日、手をつなぐことが決まっていたわけじゃない。
 たまたま――たまたま翠が躓いて手を差し伸べた。
 あのときはこんな笑顔で素直に手を乗せてくれたのに、今は――。
 モニターから視線を外しすぐそこにいる翠に移すと、大きなその目から涙が溢れていた。