「会長、今から演奏部隊が上がります。左昇降機を下げるので気をつけてください」
『助っ人参上? それは嬉しい限り。了解した。俺たちはステージ中央にいるから、右も降ろして大丈夫だよ。でさ、できれば椅子ちょうだい』
 奈落の慌てぶりとは異なる穏やかな声が返ってきた。
 声も穏やかだが対応も穏やかだ。
 余裕がうかがえる。
 なんとかなる域なのか……?
 ……そうに違いない。
 そうでなければすぐに会長から指示があったはずだ。
 指示がなかったということは立て直しが可能ということ。
 大丈夫だ、いける――。
「大丈夫そうだね」
 気づけば朝陽が隣にいた。
「あぁ、会長があの調子なら問題ない」