俺はそれからずっと翠と話す機会を得られずにいた。
 気がつけば茜先輩が翠の隣にいる。
 口を挟める雰囲気ではない。
「藤宮、茜先輩の次の曲の音源持ってたりする? もしくは、誰かが持ってるとか音源のありか知ってたりとか……」
「いや……?」
「おっかしいなぁ……。誰も預かってないみたいなんだ。さっきから底をさらう勢いでさがしてるんだけどないんだよね」
 確かに進行表上ではブランクになっていた曲だが、その曲は次だ。