光のもとでⅠ

 歌にまで嫉妬する自分をどうにかしてほしい。
 本当の「想い」をこめるかのように歌う翠を見るのは途中から苦痛でしかなかった。
 その胸に誰を想っているのか、と訊いてしまいたくなる。
 翠が側にいたいと願うのは誰なのか――。
 歌い終えた俺は結局訊いている。
「何を考えていた?」
 まるで問い詰めるような訊き方で。
 翠はその言葉に驚き、
「っ!? 私、何かミスしたっ!?」
 どうしていつも会話の方向がずれるのだろうか。
 普通の意味に取れ、普通の意味に……。
「そうじゃない――ただ……」
 ――俺、今何を言おうとした?