茜先輩が離れたことを確認してから「大丈夫か?」と声をかける。
本当は、自分に「大丈夫か?」と言いたかった。
けど、そんなことをしたところで「大丈夫」にはなり得ない。
だから、翠の目に映る自分を見ることで落ち着こうとした。
今、翠の目の前にいるのは自分で、俺以外の男は映っていない。
そんなことで自分をごまかそうとしていただなんて、今思えば安易な考えにもほどがある。
「……大丈夫じゃないけど、大丈夫なふりをさせてほしい」
俺は嘘を含まない答えに安堵した。
「……なら、笑え」
ほかの男を想って歌ったなんて、俺が錯覚しなくて済むように。
今すぐ笑え――。
本当は、自分に「大丈夫か?」と言いたかった。
けど、そんなことをしたところで「大丈夫」にはなり得ない。
だから、翠の目に映る自分を見ることで落ち着こうとした。
今、翠の目の前にいるのは自分で、俺以外の男は映っていない。
そんなことで自分をごまかそうとしていただなんて、今思えば安易な考えにもほどがある。
「……大丈夫じゃないけど、大丈夫なふりをさせてほしい」
俺は嘘を含まない答えに安堵した。
「……なら、笑え」
ほかの男を想って歌ったなんて、俺が錯覚しなくて済むように。
今すぐ笑え――。


