「翠、お茶」
 朝陽の反対側に立つと、翠はペットボトルを受け取りまた涙を零した。
 ちょっと待て……。
 翠の涙スイッチはどの辺についているっ!?
 翠はハンカチで涙を拭いては朝陽の方を向く。
「朝陽先輩……ハンカチ、洗って返しますね」
「気にしなくていいよ」
 朝陽は早々にその場を立ち去った。
「ほかの男の前で泣くなよな……」
 その発言に自分が驚く。
 翠は、「何か言った?」とでも言うかのように顔を覗き込むが……。
 ばかやろう……。素直に言いなおしてたまるか――。