適当にあれこれ頭をめぐらせ、はたと気づく。
「水分だけ、今ここで摂っていけ。奈落に着いたら何かあたたかい飲み物渡すから」
「はい」
 通路は人が休憩する場所には適していないということを改めて実感する。
 見事に口の中が乾いていた。
 口呼吸はしていないはずだが、それでも鼻腔も口腔内も乾燥していた。

 奈落に戻ると翠は簾条と実行委員に攫われた。
 全体が休憩時間に入る前にトイレへ行くという。
 簾条が一緒なら心配することはない。
 飲み物を警備員から受け取り、モニターに映るコーラス部を見ていた。