咀嚼しながら嬉しそうにふにゃり、と頬を緩めた。
 アンダンテの苺タルトを食べているときと同じ顔……。
「苺とカスタードの組み合わせ、本当に好きなんだな」
 まだ口にものが入っているからか、翠は言葉は発せず嬉しそうににこりと笑った。
 俺はそんな表情すら正視することができず、手に持ったままだったものをプレートに戻し、次の動作を求めてペットボトルに手を伸ばす始末。
 冷たい液体は、俺に用意されていたスポーツドリンク。
 ゴクゴクと音を立てて胃に流し込んだ。
 涼しいというよりは少し冷える通路だというのに、俺の身体は間違いなく火照っている。
 今の俺にはこの冷気はちょっとした補助にしかならない。
 自分を冷ますのには、このくらい冷たい飲み物がちょうどいい気がした。