光のもとでⅠ

 翠は急に現れてどんどん俺のペースを崩していき、しまいには心に住み着いた。
 翠、俺の心の家賃は高いって知っているか?
 今のところ、翠は家賃滞納者。
 保険屋は無償でやってやる。
 でも、心の滞在費を免除するつもりはない。
 最初こそ、翠が笑っていればいいと思っていた。
 隣に並ぶのが自分ではなくても、翠が笑っているのならそれでいいと――。
 俺、ずいぶんと謙虚だったんだな。
 今までの自分を殊勝だとすら思う。
 でも、今は違う。
 想いはどこまでも貪欲だ。
 さて、どうやってその滞納分を返してもらおうか……。