光のもとでⅠ

 言ったら混乱させる?
 上等だ。
 俺がこれだけペースを乱されているのに翠だけがマイペースなんて許せない。
 自分を「男」と意識された瞬間にどんな目で見られるのかを恐れていた。
 それは今も然して変わらない。
 けど、「男」として意識されない限りは延々とこのままだ。
 何が変わるでもなく、ほかの男が翠に触れることを不快に思う羽目になる。
 それなら、海斗じゃないが、いっそのこと俺のものだと誇示したい。
 俺には与えられているものが数多くあるだろう。
 でも、自分が努力してまで得ようと思ったものは、与えられたものの数に比べたらごくわずかだ。
 今、そこに加えたいもの――それが翠。