光のもとでⅠ

 歌いながら考えていた。
 翠に想いを伝えるための言葉には何があるだろうか、と。
 本当は考えるまでもない。
 翠はほかに解釈の余地がないストレートな言葉を投げない限り、俺の気持ちにには気づかない。
 そんなことにはずいぶん前から気づいていた。
 俺がこの気持ちを自覚する前に茜先輩に言われ、そのあと秋兄に言われた。
 きっと、誰に言われなくても時間が経てば悟っただろう。
 それでも俺がまだ口にしないのはなぜか――。
 いや、それも今日までだろう。
 もう、かまわないと思っている。
 翠に気持ちを伝えても問題ないだろう、と。