光のもとでⅠ

 そうでもしないと、俺は理不尽と思われるような行動を何度でも取るだろう。
 たとえば、演奏後の翠に挨拶をしようとした人間との間に割って入るとか、そんな無様な行動はそう何度も繰り返したいものじゃない。
 今ならどんなに俺らしくない行動を取ったところで、すべてが「姫と王子の出し物」で片付く。
 感情の刷毛口に「姫と王子の出し物」が使えるとは思いもしなかった。
 俺が歌う場所が円形ステージである限り、会場に上がったところで少し離れなければ俺を見ることはできない。
 だとしたら、朝陽はそんな場所まで翠を連れ出したりはしない。
 だからこその「カメラ目線」提案だったのだろう。
 いいよ、乗ってやる……。
 別に朝陽たちの企みに便乗するわけじゃない。
 俺はこれからだって自分のためにしかこんなことはしない――。