「ふざけるな……」
 調子に乗る朝陽を置いて、水分調達に警備員のもとへ向かった。
 渡されたミネラルウォーターを一気に半分ほど飲み、モニターに視線を戻す。
 あんなふうに自然に笑った翠が自分の隣にいたら、どれだけ心が満たされるか――。
 そのポジションを手に入れたい、と当たり前のように思う自分がいる。
 ずいぶんと欲が出てきたものだ。

 歌が終わり昇降機が下がり始める。
 翠の足元が見え、少しずつ上半身が見え始めたかが、椅子に座る翠はどこかぼーっとしていて昇降機が停止しても椅子から立ち上がる気配がない。