「……そんなに見るな」
 咄嗟に翠の視界を遮るように手を突き出す。と、指先に体温を感じる柔らかな髪が触れ、次には髪ではない何かに当たった。
 気づいたときには時すでに遅し。
 翠の左側頭部についていた大きなコサージュがぐらりと傾ぐ。
 それを手に取り謝った。
「悪い――」
「え?」
「……これ、取れた」