演奏が終わると同時に立ち上がった男がひとり――佐野だ。
佐野はひょい、と通路に出てきてはにやり、と笑みを深める。
「先輩、お先に! 御園生に感想を伝えるのは俺が一番です。先輩は二番手以降の争いにでも参戦してください」
そう言って走り出す。
「っ……!?」
佐野の挑発に乗り、はじかれたように走り出した俺はやっぱりおかしかったのだと思う。
この日、「冷静」という言葉が完全に頭から欠落していたに違いない。
スタートから遅れを取っているのに、インターハイで入賞した男に追いつくわけがない。
そんなことも頭に浮かばず挑発に乗ってしまった。
結果、佐野の背をすぐ前方に捕らえたまま次位着。
なんともいえない敗北感。
佐野はひょい、と通路に出てきてはにやり、と笑みを深める。
「先輩、お先に! 御園生に感想を伝えるのは俺が一番です。先輩は二番手以降の争いにでも参戦してください」
そう言って走り出す。
「っ……!?」
佐野の挑発に乗り、はじかれたように走り出した俺はやっぱりおかしかったのだと思う。
この日、「冷静」という言葉が完全に頭から欠落していたに違いない。
スタートから遅れを取っているのに、インターハイで入賞した男に追いつくわけがない。
そんなことも頭に浮かばず挑発に乗ってしまった。
結果、佐野の背をすぐ前方に捕らえたまま次位着。
なんともいえない敗北感。


