光のもとでⅠ

「司、そもそもは武将じゃなくてお姫様のはずだったんだけど」
 俺たちの会話はそこで途切れる。
 円形ステージの回転が止まり、翠が完全にこちらを向いた状態で歌い始めたから。
 たぶん、これが誕生日プレゼントなのだろう。
 俺と秋兄がここにいる時点で確定。
 こんな不意打ちをされるとは思ってもみなかった。
 仕組んだやつはほかにいるだろう。
 それでも、やると決めたのは翠自身。
 出逢ってから今まで、こんなに生き生きとした翠を見たことがあっただろうか――。
 記憶をすべてひっくり返してみても見つけられない。
 そのくらい楽しそうに、嬉しそうに、幸せそうに歌っていた。