この台詞は切り札のようなものだ。
 紅葉祭の運営にあたりこの口上を出されたら、生徒会といえど反することはできない。
 諦めて高崎についていくことにした。
 高崎が向かったのは第三通路。
 第四通路よりは明るいが、仄暗いという域を出ない通路を淡々と歩く。
 会場は全体休憩に入っており、演奏らしき音は聞こえてこない。
 代わりに、放送委員が流す曲が奈落や地下通路にも小さめの音で流れていた。
「あ、ただいま任務遂行中。――はい、時間内に問題なく移動できます。秋斗先生は? ――良かったです。はーい、了解」
 前を歩く高崎がインカムで話していた内容。
 俺が行く場所に秋兄もいる……?