光のもとでⅠ

 こういう配置になったのは「姫と王子の出し物」の一環として扱われることになったからほかならない。
 ツーショットを撮るためのベストポジションとかわけのわからないことを会長が言っていた気がする。
 もともと、普段の合わせのときもこんなふうに歌っていたわけで、それに異論もなければする必要もなかった。
「いい?」
 小さな声で翠に問いかけられる。
「いつでもどうぞ」
 そう答えると、背後で深く息を吸う音がして前奏が始まった。
 翠が奏でる音は柔らかいと思う。
 ピアノメーカーによる音質の差などは知らない。
 ただ、感じる。