「ど? 大丈夫だったでしょ?」
 朝陽に未開封のペットボトルを投げてよこされ、朝陽自身も俺の隣に並ぶ。
「さぁな……本当に大丈夫なのかはわかりかねる」
 翠は「大丈夫」と言える範疇にいると思うが、茜先輩に関してはなんとも言えない。
 いつもどおりに見せることなどあの人は慣れているのだろうから。
 その仮面が外れたところならさっき見たばかりだが、今は――。
「俺はさ、守られているだけのお姫様ってあまり好きじゃないんだよね。ま、棘だらけの道を女の子には歩かせたくないけれど。でも、強いお姫様っていうのは魅力的だよ?」
 そう言うと、「俺のジュリアみたいにね」と、ちゃっかりと彼女自慢をしてその場を去った。