「手、つないでもいい?」
「……手首を掴んでいたのとそう変わらないと思うけど?」
何を求められているのかがわからなくて肩越しに翠を見る。
「掴まれているのとつなぐのは違うよ? 手をつなぐのは一方的じゃないでしょう……?」
どこか不安そうな顔で言う。
不安そうにしている理由もわからない。
翠の言ったことを正確に理解するのには数秒かかった。
言葉そのままの意味でも間違いではない。
けど、翠が言いたいのは違う意味に思えた。
俺たちに関わることは自分の意思だと――この手を取るのは自分だと、そう言いたいのだろう。
心にじわり、とあたたかなものが染み渡る。
……嬉しいっていうのはこういうことをいうんだろうな。
「……手首を掴んでいたのとそう変わらないと思うけど?」
何を求められているのかがわからなくて肩越しに翠を見る。
「掴まれているのとつなぐのは違うよ? 手をつなぐのは一方的じゃないでしょう……?」
どこか不安そうな顔で言う。
不安そうにしている理由もわからない。
翠の言ったことを正確に理解するのには数秒かかった。
言葉そのままの意味でも間違いではない。
けど、翠が言いたいのは違う意味に思えた。
俺たちに関わることは自分の意思だと――この手を取るのは自分だと、そう言いたいのだろう。
心にじわり、とあたたかなものが染み渡る。
……嬉しいっていうのはこういうことをいうんだろうな。


