光のもとでⅠ

「手、つないでもいい?」
「……手首を掴んでいたのとそう変わらないと思うけど?」
 何を求められているのかがわからなくて肩越しに翠を見る。
「掴まれているのとつなぐのは違うよ? 手をつなぐのは一方的じゃないでしょう……?」
 どこか不安そうな顔で言う。
 不安そうにしている理由もわからない。
 翠の言ったことを正確に理解するのには数秒かかった。
 言葉そのままの意味でも間違いではない。
 けど、翠が言いたいのは違う意味に思えた。
 俺たちに関わることは自分の意思だと――この手を取るのは自分だと、そう言いたいのだろう。
 心にじわり、とあたたかなものが染み渡る。
 ……嬉しいっていうのはこういうことをいうんだろうな。