光のもとでⅠ

「さすが司ね。そのとおりよ! ほら、行って!」
「さすが」なのは俺じゃない。
 俺はさっき、朝陽に声をかけられることがなければ間違いなく翠のあとを追っていた。
 そしたら、茜先輩は泣くこともできなかっただろう。

 翠の歩調で戻ると時間が足りない。
 仕方なしに引っ張るようにして歩いていた。
 通路には規則的な俺の足音と、多少不規則な翠の足音が響く。
「ツカサ、手……」
 この手を離してもついてこられるだろうか。
 そんなことを思いながら手を解放した。