「な、あのかわいい子誰?」
 幼稚部から一緒の笹野健太郎に訊かれ、ケンの視線をたどる。と、そこには髪の長い女の子と司がいた。
「んー……かわいいけど見たことのない子だね」
「うん、俺も知らない」
 俺たちが知らないということは、中等部からの持ち上がり組ではないのかもしれない。
「外部からの新入生って線が濃厚?」
 もっとも妥当な線を答えつつ、俺たちはテラスを歩くふたりを学食から観察していた。
「どう思う?」
 ふたりに視線を固定したままのケンが訊いてくる。