「藤宮秋斗はいい男に成長したってなっちゃん先生が胸張って言ってあげるから」
 その言い方が妙になっちゃん先生らしくて、「くっ」と笑みが漏れる。
「たまには遊びにいらっしゃい。家でもいいし駆け込み寺でもいいわよ? 私ね、ラベンダーティーが飲みたいんだけど?」
 この人、どこまで情報通なんだか……。
 俺がコーヒーをやめたのはつい最近の話だ。
「秋斗くんは学校を卒業してもいくつになっても、私の着任した最初の年の生徒に変わりはないの。それだけは覚えておきなさい」
 なっちゃん先生はそれ以上何も言わず、ヒールを静かに響かせその場からいなくなった。