「……はい? 秋斗くん、もしかして、私が怒らなくちゃいけないようなことした?」
「う゛……結果的にはそうなっていませんが、それに近いことはしたかもしれません」
「ほほぉ……そのあたりを詳しく話してもらおうかしらね」
 いつもより数段低い声で言われた。
「えぇ、白状しましょう。でも、それは彼女のこの曲が歌い終ってから――」
「そうね」
 俺たちは緊張の面持ちでマイクを握る彼女に視線を固定した。