「これも嫌?」
 正直、訊くのが怖かった。
 けれども、慌てた彼女の口から出てきたものは嬉しい言葉の数々。
「違うのっ――あの……恥ずかしいだけなんです。今までに何度も抱っこされてるし、何度も手を貸してもらっているけど……好きって意識してから、すごく恥ずかしくて……」
 どうやら俺を正視できなくなったらしく、顔だけを逸らす。
 好きと言ってもらえたのは嬉しい。本当はそれで帳消しにしてもいいくらいだった。けど、俺が我慢できないみたいだ。
 彼女の顎に手を伸ばし、こちらに向ける。と、どうやら俺を正視できなくなったらしく、目だけを逸らす。
「……でも、慣れて?」
 と、口付ける。
 ふいに伸びてきた左手もベッドの上に押さえつけ、さらにキスを続ける。
 髪からいい香りがしてきて歯止めが利かない。
「んっ……秋斗さ――や……」
 初めて聞く彼女の甘やかな声――たまんないな。
「お仕置き終了」
 顔を離すと、彼女の目が「もう怒ってない?」と訊くかのように潤んでいた。