ライブが始まった今、奈落から観覧席へと続く通路の人通りはほとんどない。
もっとも、この第四通路はほかとは異なるため、一般生徒が通路として使うことはない。
でも、今はこの先に佐野くんがいる。
私が足を踏み出すたびに、キュッキュ、と上履きが音を立てる。
暗い通路の中ほどでやっと追いついた。
「佐野くんっ」
「……何、七倉」
いつもみたいな瞬発力はなく、佐野くんはゆっくりと振り返る。
たぶん、驚くまでもなく上履きの音が誰か来ることを知らせていたのだろう。
声をかけてから気づいた。
なんて声をかけるのか考えていなかったことに。
もっとも、この第四通路はほかとは異なるため、一般生徒が通路として使うことはない。
でも、今はこの先に佐野くんがいる。
私が足を踏み出すたびに、キュッキュ、と上履きが音を立てる。
暗い通路の中ほどでやっと追いついた。
「佐野くんっ」
「……何、七倉」
いつもみたいな瞬発力はなく、佐野くんはゆっくりと振り返る。
たぶん、驚くまでもなく上履きの音が誰か来ることを知らせていたのだろう。
声をかけてから気づいた。
なんて声をかけるのか考えていなかったことに。