「香乃子ちゃん。今、私の右隣には香乃子ちゃんがいるの、香乃子ちゃんは佐野くんの左隣に行くべきだと思う。……自分の右隣は、その場の状況によって誰にでも変わると思う。それと同じで、意識して誰かの左隣に行くこともできると思うの」
「七倉、翠葉ちゃんには俺がついてるから行ってきな」
 高崎くん……。
 高崎くんから翠葉ちゃんに視線を戻すと、言葉の代わりに笑顔を向けられた。
「……ありがとうっ! 行ってくるっ」
 翠葉ちゃん、高崎くん、ありがとうっ。
 私はふたりに背を向け、すぐに佐野くんのあとを追った。