「ったく大人気ない……」
 唯の小声がザクリと胸に突き刺さる。
 翠葉から唯に視線を向けると、
「来たよ来たよ!」
 いつもの調子で歩み寄り、ごく普通に絡み始めた。
 教室内にいる男子はその光景を羨ましげに見ている。
 翠葉が案内してくれた席に座るものの、どうしてもメニューよりも翠葉の格好のほうが気になってしまう。
 何を言うでもなくまじまじと見ていると、
「また、えっらいかわいい格好してるけど、こんな格好してたらあんちゃん、気が気じゃないんじゃない?」
 こいつ、わかってて楽しんでるし……。
 本当に性質が悪い。