俺と蔵元、若槻はすぐに学校へ向かった。
 俺は自分の車に乗り、蔵元も自分の車に乗る。 
 若槻は少し悩む素振りを見せ、
「話あるから秋斗さんの車乗っていいですか?」
 と、俺の車を選んだ。
「話って?」
 学校までの道のりはあっという間だ。
 車内で話せる時間は少ない。
「すごく簡単なお願い、かな?」
「何」
「自分、学校の子たちに御園生唯芹で自己紹介してるんで、若槻姓を出されると困るんですよね。俺が困るというよりは、リィが困ると思う」
 あぁ、そういうことか……。