昨夜、蔵元はうちに泊まり、朝は海斗と三人揃っての朝食だった。
「相変わらずよくお食べになられますね」
「だって育ち盛りだしっ!」
 にっ、と笑う海斗を満足そうな表情で蔵元が見ていた。
「私も作り甲斐があります」
 つまり、俺には作り甲斐がないと言いたいのだろう。
「蔵元さんって、本当になんでもできますよね?」
「そんなことはございません。独り暮らしが長いとある程度のことはできるようになるものです」
「秋兄も独り暮らしは長いけど、ここまで料理はできないよね?」
 俺に振ってくれるな……。