俺がこれから翠葉に言うことは、「翠葉は違う」と断言するようなもの。
 翠葉を「対象」に入れたことを認めたことになる。
 俺が話しても司が話しても、誰が話したところで結果は変わらないけど、「言わなくちゃいけないこと」と認識しても、俺は躊躇する。
 こういうところ、弱いと思う。
 全然潔くない。
 でも、時間もない――。
 司があのタイミングで俺に声をかけたのは、自分で言うタイミングがもうないから。
 つまり、俺がラストチャンス。