光のもとでⅠ

 翠葉のペースに合わせて歩いたら、肌に触れるものがいつもと違うと感じた。
 自転車で風を切る感覚ではなく、柔らかな風が自分の髪を舞い上げた。
 風なんていつでも身の回りにあるし、これといって気にするようなものではない。
 意識するとしたら、台風級の強風や突風。何か強烈な印象を受けるものだけだった。
 肌を優しく撫でていく風なんて、そんなの意識したことがなかった。
 翠葉の目は、小さな子が初めての風景を見たときのようにキラキラと映るのだろう。
 拓斗や琴ちゃんの目と似ていると思ったこともある。
 そういうの、変わらないでいてほしいって思ったっけ……。