光のもとでⅠ

 目には見えないものに手を伸ばしたんだ。
 それは、大切なものに触れるような仕草だった。
 さらには前方に広がる景色を眩しそうに見つめる。
 俺や司にとってはなんてことのない景色。
 小さなときから見慣れている景色だ。
 でも、翠葉にとっては違うんだよな……。
 そういえば、前にも似たような会話をしたことがあった。
 ……確か、一学期の全国模試の帰り。
 今と同じ、三人で同じ道をマンションへ向かって歩いていた。