背中がガッツリ壁に当たり、一気に全身覚醒。
「ごめんっ。俺、何か変なことしなかったっ!?」
 俺の中ではまだキスすらしていないわけだけど、自信があるかと問われれば限りなく怪しい。
「えぇと……お姉さんの名前を口にしていたのと、唯兄の手を取ったら、こぉ……ぐわっと引き寄せられてちょっとびっくりした。……でも、それだけだよ?」
「そう……なら、良かった……。いや、良くないか!?」
 全然良くないだろっ!?
 思わず頭を抱えて唸ってしまう。
 やばいやばいやばいやばい――。
 俺、あのまま起きなかったら間違いなくリィのこと襲ってた気がする。
 抱きしめてキスしてその先までしてた気がしてならない。